パート1 モズラー資産について
パート2 財政赤字こそ重要
パート3 政府支出の視覚的理解 ←ここ
パート4 銀行貸出の視覚的理解 パート5 バランス・ザ・エコノミー
2.政府支出の視覚的理解
前項では、流通している通貨の総量は二種類に分けられると分析した。すなわち、「政府支出によって創出された通貨」と、「銀行貸出によって創出した通貨」の二種類である。
ある時点、たとえば「現在この瞬間」に流通している通貨をこの二種類に分類するときに、一番簡便な方法は、前者の政府支出によって創出された通貨をカウントすることであろう。
それは、国債残高、民間銀行の準備預金量、流通紙幣・硬貨を合計することである。
本項では、この方法に間違いがないことを視覚的な把握しやすくするために、図を用いて、新しい政府がゼロから政府支出をするときに、どのようなことが起こったかを模式的に調べる。
そのために、概念「NM」というものを定義した。
NM = B + R + C
(B:国債残高 R:民間銀行の準備預金 C:流通硬貨・紙幣)
今回、改めて確認してほしいことは、以下の二つだ。項の最後にまた改めて確認することになるだろう。
- 政府支出の瞬間以外に、NMが増加することも減少することもない。
- いったん増えたNMは、決して減らない。徴税だけが、NMを減らす。それ以外にNMが減ることはない。
2-1 現金による政府支出
まず、新政府は民間のa氏に、現金で支出した。
このとき、NM=a である。