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MMT(現代金融理論)「論」ウオッチング!

ここは「MMT日本語リンク集」(みてねー)の番外サイト。 MMT(現代金融理論)「論」をウオッチしています。 良い紹介、よい批評を読みたいよね!

Learn MMT 9:国際金融のトリレンマ、もしくは朴勝俊先生お願いしますよ、という話

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Learn MMT 9:国際金融のトリレンマ、もしくは朴勝俊先生お願いしますよ、という話

こんにちは。

じぶんもちょっと丸くなりました。
だから LearnMMT(MMTを学ぼう!)カテにて。

朴勝俊先生がMMTの普及に一役と聞いて!
こちらですね。


https://twitter.com/psj95708651/status/1126425525088481280


PDFはこちらから、ですね。
https://economicpolicy.jp/2019/05/04/1164/

はい、内容は基本的にとても良いのデスが、一か所どうしても無理な箇所。
ここはとっても重要です!!

問題個所を引用いたします。赤字強調はNOC。
ここ、ほんとだめ。
レイがわざわざそう書かないように意識していることを台無しにしている。

4.4.通貨制度のトリレンマ
MMT でも通貨制度のトリレンマが当然のこととして指摘される(p.129)。政府は、(1)金融政策の独立、 (2)固定為替レート、(3)自由な資金移動、の 3 つのうち、2 つしか達成できないのである。
変動相場制をとった国は、為替相場の不安定性を甘受する一方で、国内経済政策の自由度が高くなる。
固定相場制をとった国は、資金移動を規制すれば政策の自由度をあるていど確保できるが、資金移動 の自由を認めれば国内経済政策の権限を放棄せざるをえなくなる。不況時に完全雇用のための政策(金融緩和など)をとろうとすれば、資金移動を規制するか、固定相場制を放棄するしかなくなる。

みなさんはこの「国際金融のトリレンマ」って聞いたことありますか?
マクロ経済学入門みたいな講義で習ったなって人も多いと思います。

主流経済学のよくある説明だと、これでいいんです。
朴氏がまとめたように、政府はこの三つを全部選ぶことはできないっていう。

面倒なのでWikipediaから貼りますよ。


ここで、MMTになじんできた人だと、こうピンとくるものです。

独立した金融政策??
なんだそれ\(^o^)/

ピンとくるもの、というか、ピンとこなければおかしいでしょう。

にゅんブログの読者さんはよくご存じの通り、MMTの分析では中央銀行の役割は金融調節、アコモデーションであって、財政政策の一部となることしかできません。

このよくあるトリレンマの書き方、考え方こそ、「金融政策」で市中の貨幣量や金利を動かすことができる、とか、つまりは財政政策を完全無視した考え方に他ならないとするわけなのですね。

朴先生は、教わった知識で読み流してしまった。

レイの「入門」では実際にどう書かれていたか。
「金融政策」なんて話はぜったいにしません。

しかたない、やりましょう\(^o^)/

第二版でご紹介しようと思いますが、本文に行く前に、序文で本の流れが説明されているところから。この序文で「トリレンマ」をどう扱うかが書かれている。
普通の表現ではないですよ、と書いている。

 この入門では、経済をあるがまま分析するための基礎となるマクロ経済理論を検証していく。 自らの通貨を発行する政府がどのように財政支出を行っているかを見ていく。

 最初は、あらゆる通貨制度に適用できる一般的な分析をする。 次に、変動為替相場制から固定為替相場制に至る連続体において、その国内政策にどのような制限が加わっていくかを議論していく。国内の政策空間の余地は、変動為替相場制に近づくほど大きくなるということを論じる。これは有名な開放経済の「トリレンマ」に関連してくる - すなわち、国は次の三つの政策のうちの二つだけしか選ぶことができない:為替ペッグの維持、金利ペッグの維持、自由な資本移動の三つだとするものだ。 しかし本書では、為替レート目標を選択した国は、力強い経済成長を伴った完全雇用の達成を目指す国内政策を追求することが不可能になり得るという主張をすることになるだろう。

金融政策、とか金融緩和、という言葉はいっさいありませんよ。

ついでに、本文もやっちゃうか\(^o^)/

4.6   法定通貨と開放経済における政策
政策と開放経済

財政赤字が貿易赤字の一因になることがある。赤字財政支出が総需要を引き上げ、輸入が増加する場合だ。あるいは、 海外の生産物を政府が直接購入すれば、貿易赤字に直接貢献していることになる。貿易赤字とは、世界の他の国々が国内の民間部門や政府に対し請求権を蓄積していることを意味する。 これは「資本流入」として記録されている。

継続的な財政赤字によって、為替に切り下げ圧力がかかる場合もある。よくある仮定が「財政赤字は多かれ少なかれ通貨の減価を直接的にもたらす」というものだが、そうなっているはっきりした証拠はない。しかし、これは人口に膾炙している恐怖ではあるので、この圧力があるという仮定を受け入れよう。

その場合この圧力は通貨制度次第だということになる。有名なトリレンマによると、政府は次の三つのうち一つを放棄しなければならない。独立した国内政策(通常、金利ペッグとされる)、固定為替レート、そして自由な資本移動の三つだ。 為替レートを変動させる国は、国内政策の独立性と自由な資本移動を享受することができる。 為替レートを固定する国は、資本の移動を規制するか、国内政策の独立性を放棄しなければならない。 国が完全な雇用を達成するための国内政策を(例えば、金利政策を通じて、あるいは財政赤字によって)採用したいとして、それが財政赤字をもたらすならば、 自由な資本移動か、為替レートの固定をあきらめる必要がある。

したがって、為替レートを変動させたほうが国内政策の余地が広がることになる。 資本規制は、国内政策の独立性を追求しながら為替レート固定を守りたいときのを保護するための代替手段となる。

どの政策を採用するかは当然、政治のプロセスが担うものであるが、政策立案者は会計恒等式とトリレンマを認識しておくべきである。

ほとんどの国々は国内の完全雇用と固定為替レート、そして自由な資本移動を同時に目指すことができない。例外は経常収支が安定して黒字な場合で、アジアのいくつかの国々が該当するが、外貨準備の安定流入があるため、国内政策の独立性と(もし望むならば)自由な資本移動を追求しながら為替レートペッグを維持することが可能だ。

実際には、貿易黒字国の多くが資本市場を解放していない。資本市場を管理し、貿易収支の黒字を維持することで、固定為替相場を守るための「クッション」として膨大な外貨準備を蓄積することができる。これはかつて「アジアの虎」たちが被った通貨危機の教訓による。当時の虎たちは外貨準備が少なすぎたために外国為替市場においてペッグを維持する自信を失ってしまったのだ。投機家をかわすためには大量の外貨準備が必要であることを学んでいるのだ。

ということで、朴先生、ぜひひとつ。。。
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